- 相続人の中に相続放棄をした人がいても、相続税の基礎控除額は変わらない
- 他にも、相続放棄をした人がいても変わらない相続税の非課税枠がある
相続税申告の計算で重要になる基礎控除は、法定相続人の数によって決まります。
そして、その法定相続人の中に「家庭裁判所で相続放棄をした人」がいる場合、基礎控除の計算はどうなるのかというと、結論、相続税の基礎控除額は変わりません。
この記事では、相続税の基礎控除を計算する際に、相続放棄をした相続人がいる場合はどうなるのかについて解説していきます。
1.相続税の基礎控除額|相続放棄をした人が何人いても変わらない
家庭裁判所に相続放棄の申述をし、受理されると「そもそも相続人ではなかった」ということになります。
(例えば、本来であれば相続人が3人のところ、1人が相続放棄をすると、相続人は2人ということになります。)
これを、相続税の基礎控除の計算に当てはまるとどうなるでしょうか。
そもそも相続税の基礎控除は、下記の計算式によって求めます。
先の例で考えると、3人いた相続人のうち1人が相続放棄をしたのだから、相続人は2人ということで計算するのではないか?と思われがちです。
しかし、これは誤りです。
相続税の基礎控除額の計算をする上では、その相続において相続の放棄があったかどうかは問われません。
つまり、相続放棄をした人が何人いようと、そもそもの法定相続人の数で基礎控除は計算するということです。
このことは、国税庁HP(No.4152 相続税の計算)でも明確に記載されています。
※該当箇所:上記URL内の「相続税の総額の計算」の(注1)
法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
したがって、先の例における相続税の基礎控除額は、
- 法定相続人が3人
- 法定相続人のうち1人が相続を放棄する
だとしても、
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
ということになります。
相続税の基礎控除の計算において、相続放棄以外にも注意すべきポイントがあります。
(例:法定相続人に養子がいる場合など)
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2.他にもある!相続放棄をした人が何人いても変わらない非課税枠
前章では、相続税の基礎控除額において、相続放棄した人がいる場合の計算についてご説明しました。
基礎控除額以外にも、相続税の計算において、法定相続人の人数によって決まるものがあります。
例えば、
- 生命保険金の相続税非課税枠(500万円×法定相続人の数)
- 退職手当金等の相続税非課税枠(500万円×法定相続人の数)
などです。
これらの非課税額の計算をする場合も、法定相続人の中に相続放棄をした人がいたとしても、非課税額は変わりません。
※生命保険の相続税非課税枠について詳しく知りたい方はこちら:
>>生命保険は相続税の対象!500万円の非課税枠と受け取る注意点を解説(まごころ相続コンシェルジュ)
3.まとめ
相続税の基礎控除額を計算する際、相続人の中に相続放棄をした人がいたとしても、考慮せず計算します。
つまり、相続人のうち何人相続放棄をしようが、基礎控除額は変わらず、もともとの相続人の人数で計算します。
このような知識があれば、基礎控除額は容易に計算ができるでしょう。
ですが、大変なのは相続によって取得した財産額を評価・計算するほうです。
これには、専門的な知識を要します。
当センターにも相続税の申告に強い税理士が在籍しています。
相続税の申告でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。