〈死亡後の手続き⑨〉健康保険/年金加入者の扶養に入っている場合の手続き方法

会社員の夫が亡くなりました。夫の年金、健康保険に入っていた私はどのような手続きが必要なのでしょうか。

会社員だった人を亡くした被扶養者は、健康保険と年金に関して
①被扶養者資格喪失の手続き
②被保険者資格取得の手続き
が必要になること

 

健康保険も年金も、本人が亡くなると同時に被保険者資格を失います

そして、被保険者の資格がない人の被扶養者となることはできないため、同時に被扶養者資格も消失します

 

この時点で、扶養に入っていた人は何も資格がない状態になってしまいます。

しかし、日本では「国民皆年金」「国民皆保険」の制度が導入されています

 

よって、被扶養者となっていた人は

  1. 被扶養者としての資格を失う「被扶養者資格喪失」の手続き
  2. ご自身が被保険者となって健康保険・年金に加入する「被保険者資格取得」の手続き

の2つを行う必要があります。

 

それぞれの手続きについて解説していきます。

※この記事では、会社員だった人を亡くし、その人の扶養に入っていた「被扶養者」がやるべき手続きについて解説します。

 

1.「被扶養者資格喪失」の手続き

被扶養者としての資格を失う「被扶養者資格喪失手続き」について、健康保険の場合と年金の場合にわけて解説します。

 

健康保険の場合

まず被保険者だった人の手続きは、その人が勤めていた会社が行います。

この際、被扶養者の手続きも同時に行ってもらえるため、改めて手続きをする必要はありません。

(健康保険被保険者証は返却することになっているため、被保険者の分と併せて会社へ返却しましょう。)

なお、国民健康保険は世帯単位で加入することになっているため、もし子どもがいる場合はお子どもの被保険者証も忘れずに返却しましょう。

結論、健康保険に関してはご自身でどこかへ行って手続きをする必要はないということになります

 

年金の場合

亡くなった人が厚生年金または共済組合年金の加入者(国民年金第2号被保険者)だった場合、被扶養者の人は「国民年金第3号被保険者」に該当します。

健康保険と同様、被保険者が亡くなった場合、被扶養者もその資格を喪失します。

会社に死亡の旨を伝え、必要な手続きをしましょう。

 

2.「被保険者資格取得」の手続き

次に、ご自身が被保険者となって健康保険・年金に加入する「被保険者資格取得」の手続きについて、健康保険の場合と年金の場合にわけて解説します。

 

健康保険の場合

すぐに就労する予定がない場合は、ご自身が被保険者となる「国民健康保険」に加入することとなります。

加入の手続きは、死亡した日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村の窓口で行います。

必要書類等は事前に窓口に問い合わせて確認してください。

 

年金の場合

健康保険と同様、すぐに就労する予定がない場合は、「国民年金第1号被保険者」としてご自身が被保険者として加入することになります。

よって、第3号から第1号への種別変更の手続きが必要となります。

この手続きは、死亡した日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村の窓口で行います。

必要書類等は事前に窓口に問い合わせて確認してください。

 

3.まとめ

  • 厚生年金(共済組合年金)に加入していた人が亡くなった場合、その扶養者は「被扶養者資格喪失」と「被保険者資格取得」の手続きが必要である。
  • 健康保険、年金ともに「被扶養者資格喪失」の手続きは事業主に、「被保険者資格取得」の手続きはお住まいの市区町村申請をする。
  • 資格喪失の手続きはすみやかに、資格取得の手続きは死亡日の翌から14日以内に行う

 

健康保険と年金の手続きにつきましては

  • 「被扶養者資格喪失」…事業主へ
  • 「被保険者資格取得」…住所地の市区町村役場へ

提出することになるため、健康保険と年金の手続きはセットで進めるとスムーズに終えられるでしょう。

 

特に健康保険の手続きに関しては、被保険者証の提示がないと医療機関を受診した際、医療費を全額支払わなければならない場合がほとんどです。

申請してから被保険者証が発行されるまで時間も要します。

できるだけ早く手続きを進めましょう

 

また、扶養を抜けて自身で保険に加入する、つまり保険料を納めることに不安を感じる人もいるかもしれません。

しかし、日本は「国民皆保険」「国民皆年金」制度であるため、未納期間が生じると将来無年金や低年金につながる可能性があります

 

やむを得ない事情があって保険料を納付することが困難な人のために、国民健康保険では保険料免除、減額または分割納付の制度があり、国民年金では保険料免除の申請ができる場合もあります。

いずれも適用されるには、所得の基準を満たす必要がありますが、未納期間が発生してしまう前に、市区町村の窓口に相談してみましょう。

 

その他の死亡後の手続きについては、こちらをご参照ください。

>>死亡後(葬儀後)の手続き一覧表(チェックリスト付)はこちら

 

 

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この記事を執筆した専門家

この記事を執筆した専門家 小畑 裕子

小畑 裕子

Yuko Obata

大阪府行政書士会 第090073号

行政書士補助者。遺産相続の実務手続きを担当し、年間1,500件を超える相談にも対応。管理栄養士の資格を持ち、遺言や信託を検討している高齢者を食と健康の面からサポートする。G1行政書士法人所属。

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