〈死亡後の手続き④〉インターネットの手続き方法

一人暮らしをしていた息子が亡くなりました。インターネットを使用していたようですが、今後引き継いで使用する予定がありません。どんな手続きをしたらよいのでしょうか。

  • 故人が契約していたインターネットの確認方法について
  • インターネットを「解約」または「名義変更」する方法
  • 解約すると違約金が発生することもあること

 

インターネットを使用するには、通常は回線事業者とプロバイダそれぞれと契約をします。

(※一本化されていて1社のみの契約の場合もあります。)

 

そのため契約者が亡くなった後は、回線事業者、プロバイダの契約先それぞれに「名義変更」または「解約」の連絡をすることになります。

 

その連絡をするのは、契約者の相続人になります。

なぜなら、それらは「契約」行為にあたるため、契約者が亡くなった場合はその権利義務が相続人に移行するからです。

 

この記事では、契約者が死亡した場合、インターネット契約にはどういった手続きが必要なのかを詳しく解説していきます。

 

1.インターネット契約の確認方法

そもそもインターネットは、世界中のコンピューターと回線を通じて情報をやり取りします。

 

「回線」とは、光回線電話回線など各基地局から各家庭の近くに張り巡らされている蜘蛛の巣のようなもので、その回線を整備しているのが回線事業者です。

 

そして、その回線を各家庭につなぎ、インターネットを使えるようにするのがプロバイダです。

 

回線には、

  • マンションにあらかじめ引いてあって無料で利用できるもの
  • 固定電話の回線を使って利用できるもの

など、すでに設備が整っていて、個別の契約なしで利用できる場合もあります

 

そのため、例えば亡くなった人の住まいがマンションだった場合は、管理人や管理会社に聞いたり、入居説明書等を確認したりすることで、インターネットの回線について確認できることがあります。

 

もしくは亡くなった人の住まいに固定電話がある場合は、NTTに問い合わせるか、料金明細書等で契約について確認してみましょう。

 

上記のように契約不要の回線を使用していた場合は、プロバイダとの手続きのみで終わります

その際、契約書や料金明細書等で「契約者番号」や「ID」がわかるとスムーズに手続きを進めることができます。

 

WiFiはどうなるの?

最近は、インターネット回線を利用せず、ホームルーターやポケットWiFiに接続する方法を選ぶ人も増えています。

これらは特に回線やプロバイダの契約をせず、通信事業者(ドコモ、au、softbankなど)と契約していることが多いため、銀行口座の引き落としや毎月届く支払明細書などで確認することになります。

多くの場合、契約先から貸与されている物(ルーターなど)があるため、勝手に処分しないよう、手続きする際は返却物があるかどうか確認するようにしましょう。

 

上記の方法でいろいろ調べてみたものの、亡くなった人の契約について確認することが難しい場合ももちろんあります

 

そこで別の方法としては、亡くなった人の銀行口座を凍結する方法があります。

口座のある銀行に名義人の死亡を伝えると、亡くなった人の名義の口座は相続手続きが完了するまで凍結されます

 

口座が凍結されると、その口座と紐づいていた各種支払いも当然止まります。

そして、支払いができず未払いが発生した契約先から引落し不能の案内が郵送等で届くため、そこから契約先を把握することが可能です。

 

クレジットカードでの支払いになっていた場合は、クレジットカードの明細を見ることで契約先がわかるかもしれません。

 

クレジットカードを解約してもプロバイダ等との契約が解除になるわけではないため、その点はご注意ください。

(プロバイダ等はクレジットカード会社に請求を続けることになるため、最終的には必ずプロバイダ等との契約を解除する必要があります。)

「回線」とは、光回線や電話回線など各基地局から各家庭の近くに張り巡らされている蜘蛛の巣のようなもので、その回線を整備しているのが回線事業者です。そして、その回線を各家庭につなぎ、インターネットを使えるようにするのがプロバイダです。

 

2.インターネットの「解約」「名義変更」の方法

基本的には、「解約」または「名義変更」のいずれかの手続きを選択することになります。

 

【解約】

亡くなった人が一人暮らし等の理由で遺族が引き続きインターネットを使う予定がない場合は、解約の手続きをします。

解約の場合、契約先(回線事業者やプロバイダ)に解約届等を提出します。

未払金等があれば支払いが必要になるため、だれがどのように支払うのかも予め決めておきましょう。

 

【名義変更】

同居の家族等が引き続きインターネットを使用する場合は、契約者名を変更する「名義変更」の手続きをします。

名義変更をする場合、「契約者」「支払い方法」を決めておきましょう。

こちらも所定の書類を書面で提出することで手続きできる場合がほとんどです。

またインターネットで手続きできるところもあるため、方法については事前に確認するようにしましょう。

 

3.インターネットの手続きにおける4つの注意点

インターネットの手続きを進める前にお伝えしておきたい4つの注意点があります。

 

知らずに手続きをしてしまい違約金が発生した、というケースもあるため、手続きの前にぜひご確認ください。

 

  1. 解約すると違約金が発生する場合がある
  2. オプション契約がある場合がある
  3. 相続放棄を考えている場合は手続きをしないこと
  4. 機材を借りている場合は取り扱いに注意

 

3-1.解約すると違約金が発生する場合がある

契約時の特典としてキャッシュバックやプレゼントを実施していることがあり、その特典を受けるためには2年間は契約を解除しないなどの条件が設定されている場合があります。

 

その期間内に解約すると違約金が発生する場合があるため、解約の前には違約金が発生するかどうかを確認し、もし発生する場合はその支払い方法なども確認しておきましょう。

 

3-2.オプション契約がある場合がある

インターネット契約には、基本的な使用プランの他に、セキュリティに関するサービスなどオプション契約をしている場合があります。

 

オプション契約がある場合は、インターネット契約の解約と一緒に解約になるのか、また別途解約をする必要があるのか等、死亡連絡の際にあわせて確認しておきましょう。

 

3-3.相続放棄を考えている場合は手続きをしないこと

冒頭でもお伝えしましたが、インターネットなどの「契約」に関することは、契約者が亡くなった場合、相続人にその権利が移ります。

 

もし、相続放棄をする場合、あるいは相続放棄を検討している場合は、「契約」に関する手続きを一切しないようにしましょう

 

なぜなら、これらの手続きをしたことによって「相続する意思がある」と判断され、相続放棄ができなくなる可能性があるためです。

 

相続放棄を考えている場合は、インターネットに限らず一切何も手続きをしない、という方が懸命です。

 

3-4.機材を借りている場合は取り扱いに注意

インターネットを使用するにはモデムやルーターが必要になる場合がほとんどで、契約時にそれらをレンタルしている場合があります。

レンタル品であれば、解約すると当然返却する義務があります

解約の手続きの連絡をする際は、返却するものがないかも確認するようにしましょう。

遺品整理の際に知らずに捨ててしまった?!

亡くなった人の遺品整理の際、「インターネット関連のレンタル品だと知らずに捨ててしまい、賠償請求されてしまった」というお話はよく聞きます(数千円ではなく数万円のケースが多いです)。

遺品整理の際はくれぐれもご注意ください。

 

4.まとめ

亡くなった人がインターネットの契約をしていたかどうかは

  • 契約書や明細等から見つける
  • 自宅にある貸与品から見つける
  • 故人名義の口座を凍結させて支払いを止め、督促状等から見つける

といった方法が考えられます。

 

そして手続きとしては、契約先に契約者の死亡を伝え、

  • 解約
  • 名義変更

のいずれかを選択して、所定の手続きを進めることになります。

 

当センターの【遺産相続手続き全部サポート】プランでは、インターネットの解約手続きを含め、相続におけるあらゆる手続きを代行しております。

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この記事を執筆した専門家

この記事を執筆した専門家 小畑 裕子

小畑 裕子

Yuko Obata

大阪府行政書士会 第090073号

行政書士補助者。遺産相続の実務手続きを担当し、年間1,500件を超える相談にも対応。管理栄養士の資格を持ち、遺言や信託を検討している高齢者を食と健康の面からサポートする。G1行政書士法人所属。

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