こんにちは。
遺産相続手続まごころ代行センターの広報「こころん」です。
皆さんは、現在放送中のNHKの連続テレビ小説『虎に翼』をご覧になっていますか??
そういうわたしは見ていないのですが…💦
ゴメンナサイ‼‼ドラマ全般見ないのです(小声)
どうやら6月24日(月)の週で「遺言書の検認」が取り上げられていたようです。
(第12週の6月24日、25日の2日間が該当)
放送後に知ったので、急いで見逃し配信でチェックしました!
個人的に、「検認」を取り上げるってマニアックだな~と思ったので、
- どういうふうに「検認」を描いていたのか
- 現行民法との違いとは
について、軽くお話していきたいと思います!
〈遺言書の検認とは?〉
詳細はこちらをご参照ください。
1.ドラマでどういうふうに「検認」を描いていたのか
まずはドラマを見ていない方のためにも、復習として、検認を含む遺言書にまつわる2日分の内容をおさらいしていきたいと思います。
主人公である佐田 寅子(演:伊藤 沙莉)と、かつて共に学んだ明律大学女子部の同期である大庭 梅子(演:平岩 紙)が軸となります。
梅子の夫・徹男が亡くなって、その妾という元山 すみれが徹男の遺言書を持って裁判所に相談に来るところから始まります。
時は昭和24年(1949年)4月です。
ひとことメモ🖊
家庭裁判所は、離婚や相続などに関する家庭内の紛争及び非行を犯した少年の事件を専門的に取り扱う裁判所として昭和24年(1949年)1月1日に誕生しました。(家庭裁判所のあらましより)
また、戦後ということもあり、
家庭裁判所が扱う事件は、出征軍人の戸籍や相続のトラブル、戦災孤児の非行など、戦争の傷跡や貧困が背景にあるものが大多数でした。(家庭裁判所70周年を迎えてより)
それから、ナレーターから次のような説明が入りました。
遺産を相続する権利がある人たちの立ち合いのもと、家庭裁判所において、遺言の存在と内容を確認することを「検認」といいます。
その間に徹男の遺族と、妾のすみれが裁判所内の一室に集まりました。
📣こころんの独り言
この解説は、初めて検認を知る人が多い中で、とてもわかりやすいなと思いました!
そして、東京家庭裁判所判事補になった寅子が本件を担当するため、彼女が遺言書を開封、次の通り読み上げました。
「遺言者(住所略)大庭徹男は死亡の危急が迫ったので、昭和24年3月25日、自宅において、左の証人3名の立ち会いで、そのひとり、辻文雄に対して左の遺言を口授した。
元山すみれに全財産を遺贈する。」
一瞬でしたが、実際の遺言書の映像も映されていました。
📣こころんの独り言
「遺言書」は、遺言する人が特定の人に自身の財産を渡すのに有効な手段です。それゆえ、相続を扱う物語ではよく登場する印象があります。(例えば、有名なところで言うと『犬神家の一族』などです!)
しかし、ここはさすが「法」を扱うドラマ。「死亡の危急」「口授した」など、エッセンスが盛りだくさんですね!
現行法でも、「特別の方式による遺言」といって、病気などで死期が迫ってるいる場合(死亡の危急)に、証人3人が立ち会って遺言することになっています。(証人それぞれの署名と捺印も必要です)
徹男の家族は口々に「遺言書はすみれが偽造したに決まってる!」と騒ぎ立てます。そこで寅子は、
申し訳ありません。今この場では遺言書の有効・無効の判断はできかねます。
と伝えます。
裁判所が遺言書の有効・無効を判断しないのは、現行どおりですね。検認はあくまで「遺言の存在と内容を確認する」ものなのです。
それから、ナレーターが次のように補足をします。
戦前の民法であれば、全ての財産は長男 徹太が相続するものでした。
しかし新しい民法では、妻 梅子が3分の1、残りの3分の2を息子たちがー…(以下略)
そして「正式な遺言がなければ、の話です。」と付け加えます。
📣こころんの独り言
そうなんです。この、いわゆる「法定相続割合」は、現行民法と少し異なっているんですよね!これについては後程触れたいと思います。
そうして、まずは「この遺言が有効かどうかを調べる手続き、そして相続にまつわる手続きをそれぞれおこなっていただきます」と寅子は言いました。
遺言書が有効かどうか調べるため、寅子の同期の弁護士・轟と よね が就くことになりました。
調査結果を報告すべく、ふたりは、すみれも呼び寄せ大庭家を訪ねました。
そこで轟が次のように報告をします。
証人の住所として書かれていた場所を訪ねたところ、全くの別人が住んでいました。
どういうことかというと、
住所が間違っているか、証人が実在しないか…。
そして結論としては、
証人を偽装したならば、当然のことながら遺言書は無効。
それどころか、有印私文書偽装罪に問われるおそれもある。
とふたりが説明していきます。
偽装を疑われているすみれはというと…?
なんだ、もうバレちゃったか。
と吐き出します。
そうです、遺言書は偽装で、つまりは無効ということになりました。
これでひとまず、故・徹男の財産は本来の相続人に限られるわけですが、ここでもなかなか結論が出ず、家庭裁判所の調停に持ち込まれることになったのでした。
と、ここまでが、遺言書が関わってくるエピソードになります!
(ドラマを見返しながら、セリフはメモしました!笑)
2.現行民法との違いとは
わたしも『虎に翼』が初見だったために、物語の時代背景を理解するために、まずは民法の歴史を調べました。
①旧民法(明治民法)
(明治31年7月16日~昭和22年5月2日)
家制度を前提とする家督相続(戸主の地位及び財産の承継)を中心に、相続に関する規律が編成されていました。
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(昭和17年一部改正)ここでは割愛します
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②日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律(応急措置法)
(昭和22年5月3日~昭和22年12月31日)
民法の「第5編 相続」については、家督相続制度の廃止、配偶者の相続権の確立などの改正がされました。
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③新民法
(昭和23年1月1日~昭和55年12月31日)
旧民法の全面的な改正が行われた結果、施行されたのが「現行民法」です。
↓
(昭和37年一部改正)ここでは割愛します
↓
④昭和55年改正
(昭和56年1月1日~現在)
「民法及び家事審判法の一部を改正する法律」が成立し、様々な改正が行われましたが、特に注目したいのは、「配偶者の法定相続分の引上げ」です。
従前は、配偶者の法定相続分について、子と相続する場合は3分の1、直系尊属と相続する場合は2分の1、兄弟姉妹と相続する場合は3分の2とされていたところ、それぞれ2分の1、3分の2、4分の3に引き上げられた。
↓
【その後の改正の歴史】ここでは割愛します。
平成8年の法制審議会の答申
平成11年改正
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律
平成25年改正
相続割合の違い
ドラマでナレーターが触れていたように、戦前の民法と、ドラマの時間軸である新民法とは法定相続割合が異なります。
そして、ドラマの時間軸は、現行の民法ともまた異なります。
それぞれの相続割合を見ていきましょう。
①戦前の民法(=旧民法)
家督相続のため、故・徹男の長男が全財産を取得します。
②新民法(=ドラマの時間軸)
配偶者は3分の1、子どもたち3人で、残りの3分の2を均等配分することになります。
③現行民法(=今を生きるわたしたちの時間軸)
配偶者は2分の1、子どもたち3人で、残りの2分の1を均等配分することになります。
ドラマから、こうした変遷もうかがい知ることができますね。大変興味深い一幕でした。
📣こころんの独り言
ドラマでは、実は「遺留分」にも触れられていたんですよね!
遺留分とは、遺言書等によって財産を受け取れなかった場合でも、一定の相続人であれば、請求することによって最低限受け取ることのできる相続分のことです。
映像でも文字で説明があって(その後会話でも!)、ナルホドなと思いました!
(難しいので、詳しくはこちら👇)
まとめ
わたしは当センターに勤めてから相続に関わるようになったので、遺言書の必要性、そして、手書きの遺言書があった場合には「検認」が必要であるという決め事を初めて知りました。
だからこそ、より多くの人に「遺言と検認」を知ってほしいですし、その思いで日々コンテンツ制作にも励んでいます。
ウォーカープラスで連載中の相続漫画でも、こだわって「検認」の場面を含んでいます…!ぜひ読んでみてくださいね✨
そのために、今回朝ドラというたくさんの視聴者がいる番組で、「遺言」そして「検認」を取り上げたことはとても大きな意味があると思い、このたびブログで紹介させていただきました。
相続は、そのときの法律をはじめ、その人の相続関係、財産の内容、相続人たちの意向など、様々なの事象が絡み合うために「同じ相続」が発生しえないものだと感じています。
そんな一見複雑そうな相続を、どうか身近にあるものとして知っていただけるよう、これからも情報を発信していきます!