こんにちは。
遺産相続手続まごころ代行センターの広報「こころん」です。
今回は、2023年4月に新しく導入された、「相続土地国庫帰属制度」についてお話したいと思います!
これは何かといいますと、簡単にお伝えすると
相続した土地を国が引き取る制度
のことで、2023年(令和5年)4月27日から始まりました。
(制度の概要については、すべて法務省のサイトを参照しています。)
土地を相続したものの、
- 自分は(その土地から離れて)遠くに住んでいる
- 管理し続けるのが大変
など様々な状況から、放置されることを防ぐため、
土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。
(法務省のサイトより引用)
というのが制度の概要です。
「え、相続したいらない土地、国がもらってくれるん?助かる~~」
と思うじゃないですか。
実際は、全然そんなことないんです。
専門家の間では、制度開始前から「こんなん誰が利用するん?」みたいな反応だったようです。
実際どういう制度なのか?
何がそんなに利用しづらいのか?
そのあたりを(専門家監修とはいえ)広報目線でざっくりご紹介していきます!
1.そもそも要件が厳しすぎる!
- 申請者の要件(だれが申請できるのか)
これはそこまで難しくありません。
そもそも「相続した土地」を持っている人であることが大前提ですので、法務省の説明も理解しやすいと思います。
問題は、こちらですね。
- 対象となる土地の要件(どんな土地であれば申請できるのか)
こちらがめちゃくちゃ厳しい!というよりそもそも「対象となる土地」ではなく「引き取ることができない土地」と紹介している時点で、例外の多さが窺えます。
(相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件|法務省)←専用サイトがあるぐらいです!
- 申請ができないケースが5つ
- 承認ができないケースが5つ
そもそもこれらに該当する土地は、対象外!です。
これをかいくぐる土地は、相当少ないと考えられます。
2.タダではない!結構お金がかかる!
制度の名称や概要からは伝わってこないのですが、この制度、「タダで土地を引き取るぜ~~✨」というものではないのです!
ちゃんとお金を払う必要があります。
手数料?
それもかかりますが(審査手数料の金額は、土地一筆当たり14,000円)、それよりも大きいのが「申請者が10年分の土地管理費相当額の負担金」というものです。
つまりです。
この制度の本性は、「国が申請者に代わって土地の管理をするから、その分の管理費用は負担してや」というものなのです。
負担金はどうやって算定されるのか?
これは、この制度を利用して承認されるまでのフローを見てみましょう。
- 承認を受けるための申請をする
- 必要に応じて法務局が実地調査
- 国(法務省)が承認
- 負担金を納付
- 土地が国庫に帰属される
「この土地なら、10年でこれぐらいの管理費(=負担金)になりますね~」ということです。
それを納付しないことには、国庫に帰属されません。
3.導入から半年!どれくらいの土地が帰属された?
お待たせしました。
問題は、この制度がどのくらい活用されているか、その実態ですよね。
2023年10月3日のNHKニュース等によりますと、
8月末までに1万4,000件の相談(10月4日付法務大臣記者会見談)
↓
8月末時点で約900件の申請(同上、厳密には885件)
↓
9月、富山県内の宅地2か所を、国が初めて引き取り所有
となっています。
半年で2件、885件のうち2件(約0.2%)の実績ということです。
専門家の当初の憶測通りとなっていますね。
この結果を見る限りでは、当センターにもこの制度に関する問い合わせはありますが、自信をもって「ぜひやりましょう!」とは到底言えない状況です。
お伝えするのも心苦しいですが、
- そもそも申請できる対象の土地かどうか
- 10年分の管理費(負担金)を払えるかどうか
しっかり見極める必要がありそうです。
今後承認実績が増えるのか、なにか変更が加わるのか、当センターとしても引き続き注視してまいります。