こんにちは。
遺産相続手続まごころ代行センターの広報「こころん」です。
今回は、ちょっと堅苦しいですが、相続税・贈与税のお話をしたいと思います。
相続税も贈与税も、どちらも「一定額以上の相続または贈与があった場合」に、財産を受け取る側に課せられる税金です。
(すべての相続・贈与が対象ですが、いずれも基礎控除や非課税があるため、一定額以上の財産を受け取った場合に課せられることになります)
このたび発表された2023年度の法改正案(令和5年度税制改正の大綱)により、相続税と贈与税に大きな変更点がありそうなので、こうしてテーマにしようと考えたわけですが、それを理解しようとするも、相続ド素人からみて「??」となる点も多かったので、なるべくわかりやすく(わたしの使命として‼)お伝えできたらと考えています。
今回も目次を作ってみたので、気になるところから読んでみてください♪
1.「法改正するよ!」と言いながら、まだ確定していない理由
まず、税制が変わる流れを簡単にお伝えします。
これは、もしかしたらわたしだけが「そうだったの?!」と驚いたことかもしれないので、興味のない方は飛ばしてもらっても大丈夫です👍
「税制が変わるかも?!」という情報は、毎年12月に閣議決定される「令和●年度税制改正の大綱」という法改正案からやってきます。
直近でいうと
されました!
何が決まったのかは、財務省のホームページで見ることができます。
わたしが参照したのも上記のパンフレットで、その表紙には以下のようなことが書かれてありました。
このパンフレットは、「令和5年度税制改正の大綱」(令和4年12月23日閣議決定)及び「所得税法等の一部を改正する法律案」(令和5年2月3日閣議決定)の内容を分かりやすくまとめたものです。法律が成立する前の内容であることにご留意ください。
(※太字はこころんによる)
そうなんです。
税制改正の大綱は、これからこんな法改正するよ!という案であって、まだ(改正後の)法律は成立していないのです。
よって、改正の流れとしては、税制改正の大綱が閣議決定された後、1~3月の間に審議→法案可決までいき、4月から施行されることが多いようです。
なので、税制改正の大綱は法律ではないため、「法改正によりこうなったよ!」とはまだ言えないんですね・・。
このブログを書いている(2023年3月末)時点では、まだ改正法案が世に出ていないため、わたしもこれに倣い「おそらく法改正により、こういう変更があるだろう」というスタンスで、話を進めていきたいと思います!
2.2024年から何が変わる?相続税と贈与税のポイント
さて、ここからが本題です。
とはいえ、どうやらこれから話す法改正案はいずれも、2024年1月1日以降に受けた贈与について適用されるようなので、実質来年から適用、ということになります。(お間違えなく!)
2-1.変更点①暦年課税について
暦年課税とは、簡単にお伝えすると以下の通りです。
ポイント1 | その年の1年間(1月1日~12月31日)で受けた贈与に対して |
ポイント2 | 年間110万円までなら非課税(基礎控除) |
ポイント3 | ただし、贈与者が亡くなった場合、相続前の3年間の贈与については、相続財産として加算し相続税の対象となる |
このポイント3が重要です!
今回の法改正案では、相続税の対象となる期間が、3年から7年に延長されることになっています!
ただし!
延長した4年間の贈与については、総額100万円まで(4年間の合計)は相続財産に含まなくてよいとされています。
うーん。なかなかややこしいですね。
ひとまず、毎年コツコツ暦年贈与をしていたとしても、死亡日よりさかのぼって7年間の贈与については相続財産とみなされてしまうので、そうなりたくない場合は、かなり前もって贈与をした方が懸命のようです。。
2-2.変更点②相続時精算課税について
相続時精算課税というものがあります。
ですが、これはそもそもがややこしい制度です。
わたしも以下の記事を読みましたが、すべてを理解できているわけではありません!(どや顔)
簡単にまとめると、以下のような制度です。
ポイント1 | 「相続時精算課税を受けたいです!」という届出のための申告~贈与者の死亡日までの贈与 に対して |
ポイント2 | 2,500万円までなら非課税(特別控除) |
ポイント3 | ※申告するための期間が決まっている ※贈与者と受贈者の要件がある (詳細は、上記のリンク先でご確認ください) ※贈与者が亡くなった場合は贈与時の金額で相続財産として加算し相続税の対象となる |
これが法改正でどう変わるかというと、注目すべきはポイント2です!
新たに基礎控除110万円(毎年)が創設され、この範囲の贈与であれば申告も不要で非課税となるようです。
(※ただし、1年目は必ず適用を受けるための申告をしましょう。2年目以降の申告は不要です)
これまで(法改正前)は、相続時精算課税で現金を贈与した場合、必ず相続財産として加算され相続税の対象となっていました。
そのため現金贈与の場合、相続時精算課税は使うメリットはあまりない制度でした。
ですが改正後の相続時精算課税には、新たに、毎年110万円の控除が新設されます。
なので、年110万円以下の少額の贈与であれば、暦年課税に比べて税負担が軽減されます。
(※なぜなら、2-1章の暦年課税で伝えたように、相続開始前の7年間は相続財産として加算されるうえ、人はいつ死ぬかわかりませんから!)
(※必ずというわけではありません。いずれの非課税を活用するにしても、必ず税理士にご相談の上、ご自身で納得した選択をなさってください)
3.まとめ
いろいろお伝えしてきましたが、相続において、今回の法改正で重要なポイントは、
という点です。
また、これは2023年度の法改正であって、今年の年末にもまた「令和6年度税制改正の大綱」が発表されるでしょう。
このように、毎年少しずつ税制が変わっていっています。
ここでは相続税と贈与税についてお話ししましたが、他にも様々な税がありますので、今後ぜひ注目して社会を見てみると面白いかもしれません。