
こんにちは。
遺産相続手続まごころ代行センターの広報「こころん」です。
2025年1月25日(土)より、日本テレビ系で放送が始まったドラマ『相続探偵』!
ーー相続を扱うドラマなんて珍しいなあ。
ーーしかも原作はマンガなんだな。
ーーよし、見てみよう!
ということで、普段ドラマを見ないわたくしが、一相続事務所スタッフ目線で1話を視聴いたしました!
その感想を綴ってみたいと思います。
公式サイトはこちらです。詳細の確認にお役立てください。
>>相続探偵
1.第1話のざっくり「あらすじ」と所感
ドラマの冒頭は、通夜のシーンから始まります。
相続は、人の死によっては始まりますから。。
その始まりとして通夜の場面というのは、シンプルでわかりやすい見せ方だなと感じました!
byこころん
亡くなったのは著名なミステリー作家・今畠氏。
通夜には、生前ワインを通して親交のあった主人公「相続専門の探偵」灰江七生(はいえ なお)も登場します。それから続々と
- 今畠氏の長年の秘書・桜庭さん
- 今畠氏の3人の娘たち
が登場します。
通夜に3姉妹が集まったところで、桜庭さんが「見てほしいものがある」と言って別室へ誘導。そこで3姉妹は、生前録画されていた今畠氏の遺言ビデオを観ることになります。
その内容は簡単に言うと、「3姉妹には生前財産を渡しているし(生前贈与)、だれも見舞いにも来ないし、だから、長年世話をしてくれた秘書の桜庭さんに全財産を渡す!」というものでした。
灰江もちゃっかりそのビデオを見ていて(しかも録画まで!)、わずかな時間でそのビデオに映る怪しい点をいくつか発見するのです。
このドラマはあくまで「探偵もの」つまり、相続争いを描くというよりは、相続にまつわるミステリーものなので、その点で、相続をうまくエンタメ化できているのかなという印象でした。
byこころん
!以下ネタバレを含みます!
灰江は、故人の遺言ビデオや通夜の返礼品等から「脅されて遺言を録画したのでは?」というヒントを得て、仲間にいくつかの証拠探しを任せます。
翌日の葬儀の日に、今畠氏の顧問弁護士(灰江の知り合いでもある)が現れて、
- ビデオの遺言は法的に無効(←実は灰江も故人も知っていた)
- 本物の遺言書は自分が預かっている(←手書きの遺言書)
と言ってきます。
でも、その本物という遺言書の内容は、ビデオメッセージとまったく同じ内容だったのです!
とはいえ弁護士的には、「これこそが正式な遺言書!」と主張します。
このとき字幕で、遺言形式のひとつとして「自筆証書遺言の要件」について、
①直筆であること ②日付の記載があること
③氏名が書かれていること ③押印済であること
と補足がありました!個人的にはいきなり「自筆証書遺言」というワードが出てきたので、それが何なのか伝えたらなーと思いました・・💦
byこころん
それでも灰江は、今畠氏が生前、
- 無効と知っていながらわざわざビデオで遺言を遺している
- さらに同じ内容の自筆の遺言書も遺している
この謎と意味を主張します。
(灰江はすでに、脅迫により書かれた遺言という線を疑っているのです!)
顧問弁護士は「脅されて書かされた証拠なんてあるのか!」と言いますが、ちょうど証拠もそろったという灰江。解決編が始まります。
今畠氏の書斎に集まった関係者。そこにはお手伝いさんである下島さんも呼ばれていました。
真相はこうです。
実は、書斎には新たな遺言書が隠されていました。
その内容は「お世話してくれたお手伝いさんに1億円、残りは財団等に全額寄付する」というものでした。
当然納得しないのは3姉妹と桜庭さんです。自分たちの配分がないのですから!そこで桜庭さんが、
- 書斎で見つけた新しい遺言書(お手伝いさんが財産をもらう内容)
- 弁護士が持っていた当初の遺言書(桜庭さんが財産をもらう内容)
いずれも同じ日付の遺言書だから、「当初の遺言書が本物です。同意してくれたら財産を4等分します」といって3姉妹に同意を求めます。それに対してお手伝いさんも同意します。
ここはセリフでのやりとりだったので、伝わりづらいかなと思った部分です。
①遺言書が複数あり、重複した内容が書かれていた場合は、後に書いたほう(日付が新しいほう)が有効とされます。(ここでは同じ日付だったために、桜庭さんが「当初」のものを有効としたがる)
②遺言があっても、相続人(3姉妹)と受遺者(遺言により財産をもらうことになった人=お手伝いさん)の全員の同意があれば、遺言書通りに財産を分けなくてもいいことになっているのですが、説明がなかったので、そういう決まりであることは、ちょっと伝わりづらかったんじゃないかな?と感じました。
byこころん
ここで激怒するのが灰江です。
なぜそんなに怒るのかというと、本物の遺言書は、お手伝いさんにあげる遺言書だからです。
そう、遺言書偽造の犯人は、実は桜庭さんでした。
暴力をふるって今畠氏を脅し、自分の都合のいい遺言書を書かせたのです。
それが偽物であることを(ミステリー作家らしく)伝えるために、特に親交のあった相続探偵・灰江に気付いてもらうために、今畠氏はビデオや返礼品等でヒントを遺し、本物の遺言書を見つけてもらう手はずにしていたのでした。故人であるミステリー作家が上手だったんですね!
2.気になった点と良かった点
ここからは、もう少し詳細に感じたことを綴っていきたいと思います!
1.「相続」は「争続」
ドラマ冒頭、遺言のビデオを見た後の3姉妹は、「全財産を渡す」とされている秘書の桜庭さんを疑います。もちろん完全に否定する桜庭さん。まさに「相続で揉めている」場面です。
そこで灰江の独り言が入ります。
”遺産相続の「相続」を「争続」と書くくらい、揉めるのが常ですから”
よく言われる言葉ですね。「争続」。
といっても、遺言書がないから揉める事例の方がまだまだ多い印象です。
とはいえ、遺言書のルールを正しく知っておかないと「家族が揉めないように」良かれと思って作った遺言書も、「揉める原因」になりかねないなと思います。
手書きの遺言書のルールについては、こちらをぜひご参考ください!
2.「検認」に触れていない
顧問弁護士が預かっていた今畠氏の遺言書。
「要件も満たしているし、これが正式な遺言書」と言います。
もちろん、その通りです。ですが手続き上は、
- 遺言書に封がされていれば、勝手に開けてはいけない(→まず検認!)
- 遺言書の封に関わらず、相続手続きをするにはまず検認!
そのために、まず家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。
これは、財産を遺言書の内容通りに引き継ぐためには必ず必要なことです。
そして、裁判所で検認があるからといって、検認では遺言書の「有効・無効」を判断することはありません。
物語上、手続きの話は当然していなくて、有効か無効かの話をしている、そのためここでは「検認」に触れる必要はないのですが、何かしらで検認に触れられればいいよなあと思ってしまうのが、おそらく相続事務所スタッフの目線なんだと思います。(笑)
検認、重要です。気になる方はこちらをご覧ください。
3.「遺留分」に触れていない
物語のラストでは、遺言書通り、お手伝いさんが今畠氏の財産を引き継いでいます。
そして、相続人だった3姉妹には1円も入らず、遺言書は「親の財産を頼らず、自分たちの力で生きていけ」というメッセージではないかととらえ、遺言の内容を受け入れています。
法律では、遺言書により相続人(ここでは3姉妹)に財産が渡らない場合に、「遺留分」といって、相続人から主張することで最低限遺産をもらうことのできる割合が定められています。
つまりは、遺言書は有効でそのとおりに財産がいきわたったとしても、3姉妹には一定額まで、財産を引き継いだお手伝いさんに遺留分を請求できる権利がありました。
ドラマでは、この遺留分に一切触れていません。権利があることも、です。
ですが、ドラマのHPでは「きっと役立つ相続豆知識」と題して、遺留分を解説しています。
ぜひ視聴者の皆さまに、そのページにたどり着いていただきたい…!
こういう時の遺留分は、ドラマの登場人物を使ってわかりやすく解説できるので、わかりやすくていいなあと思います!
byこころん
なんと‥!第2話で遺留分に触れていました!
セリフでも説明があったので、そこでしっかり説明するために、あえて第1話では遺留分に触れなかったと思われます!ちょっと安心しました^^
ちなみに、当センターの遺留分解説記事はこちら!
4.「あんたの遺産は泣かせねぇぜ」
相続探偵の灰江からは、たくさんの名セリフが飛び交った印象を受けました!例えば…、
”あんたの遺産は泣かせねぇぜ”
序盤から出てくるこのセリフは、灰江の信念のような、行動の原点のようなものを感じさせます。
ドラマ後半、秘書の桜庭さんが当初の遺言書を「本物」とする発言をして、全員から同意を得た時に、激怒した灰江のセリフもこちらでした。
”元々亡くなった今畠先生が稼いだお金
使い方は先生が決める、それだけのこと”
”それを泣かせるようなマネは、この灰江が許さねぇ!”
そして「こんな遺言ありえない!」「今までこんなに尽くしてきたのに!」と、各々が勝手なことを言ってきますが、一蹴します。
”今畠先生の人生は今畠先生のもんだ!”
このあたりのセリフ、良かったですね~✨
当センターでも遺言書作成のサポートをさせていただくことが多々ありますが、遺言は「その人の最後のメッセージ」ととらえ、しかと想いを果たすべく、最善を尽くす姿勢でお手伝いをさせていただいております。
ですので、通ずるものを感じました。
個人的に印象に残ってるセリフといえば、こちらも。
生前今畠氏に「なんで相続探偵?」と聞かれて灰江が答えたのが、
”死人に口なしって言葉が大嫌いなんで”
今畠氏はそういうやりとりから、今回のプラン(脅されたとおりに遺言書は作るけど、そういう事実があることに気づいてもらう仕掛け)を仕組んで、灰江に気づいてもらうようにしたんだろうなと思いました。
ですがこの言葉、ドラマのラスト、墓参りをする灰江のセリフ「父さんの無念は必ず晴らす!」を聞くと、また少し違って聞こえますね。
何やら壮大な事案がうごめいていそうです・・そんな予感を感じさせる幕引きでした。
3.まとめ
長くなってしまいましたが、ドラマ第1話を見て一貫して感じたことは、
相続をうまくエンタメ化して、おもしろく伝えられている
ということです。
手続きではなく、相続にまつわる「人間ドラマ」「秘められた謎」がメインなので、相続知識をそこまでちりばめる必要もないと思いました。
とはいえ、特に今回は「遺言書」ましてや「偽造」がからむ話だったので、どうしても「知っておいた方がいい知識やルール」にも触れてほしい!と欲が出てしまいます・・💦
(それを知らなくても、ドラマとしては十分楽しめるのですが!)
字幕をうまく活用して補足したり、HP上で相続豆知識を展開するなど、工夫されているので、ドラマから、ぜひとも多くの人に相続に関心を持ってもらえるような、懸け橋となってほしいなと思いました!
今後どういう展開になっていくのか、相続をどう描くのか、楽しみです!
ひとまずの第1話の感想でした!
最後までお読みいただきありがとうございます。