相続手続きをするために、相続財産の洗い出しが必要!
→漏れなく財産を見つけるためのポイントを紹介します。
- プラスの財産を見つける手がかり
- マイナスの財産(借金等)を見つける手がかり
いざ遺産相続手続きを始めようと思ったとき、または相続手続きを進めている中で、
- 通帳は見つかったけど、これで本当に全部なのかな?
- もしも借金があったらどうしよう…
- 疎遠だったので、どんな財産があるのか全くわからない
など、プラスもマイナスも含めて「本当にこれで全て?」と心配になりませんか?
誰もが不安になるのが手続き「漏れ」ですよね。
極力そういったことがないように、当センターでも財産調査のお手伝いをさせていただくこともありますが、
- 自分自身で相続手続きを進めたい!
- 相続するか放棄するか判断するためにも、早く自分で財産調査したい!
という方に向けて、この記事では相続財産を調査する上での手がかりをご紹介していきます。
「こういうものまでヒントになるのか!」と思われるものもありますので、財産調査の際はぜひご参考にしてください。
目次【本ページの内容】
1.プラスの財産を見つける手がかり
まずはプラスの財産についてご紹介していきます。
プラスの財産とは主に
などが挙げられますので、これら6種類について順番に見ていきましょう。
1-1.銀行口座に関する手がかり
確認するもの | 見つけた後にやること |
通帳、キャッシュカード | その銀行に問い合わせる |
ATMの利用明細 | ・出入金の明細であれば、その銀行に口座がある →その銀行に問い合わせる ・口座からの振込明細であれば、その銀行に口座がある |
多くの場合、自宅に通帳やキャッシュカードがあるはずです。
最新のものでなくても(直近の通帳でなくても)口座があることさえわかれば、その銀行に問い合わせれば残高を確認することができます。
(相続人であることを証明する資料や各銀行所定の用紙の提出が必要です)
下記の記事では相続手続きをする際の必要書類を解説していますが、残高を確認する場合でも同じような書類が必要になりますのでご参考ください。
1-2.不動産に関する手がかり
確認するもの | 見つけた後にやること |
・権利証 ・固定資産税の納税通知書 |
法務局で登記情報を確認する(※1) |
「生前に聞いたような…」という記憶 | 不動産の所在地を管轄する役所で名寄帳(※2)を請求する |
火災保険の証書など | ・その保険会社に契約の有無を確認する ・対象となる不動産の記載があれば、その情報をもとに法務局で登記情報を確認する |
(※1)権利証や納税通知書が手元にあれば、不動産に関する記載があるはずです。
その情報をもとに法務局で登記情報を確認すれば、不動産の所有者がわかります。
(※2)名寄帳とは、役所で把握している「氏名に紐づいた不動産の一覧情報」といった書類です。
登記の有無、固定資産税の課税の有無に関わらず、その役所管轄のエリアの不動産について、人に紐づいた不動産情報が確認できます。
当センターでは、お手伝いさせていただくすべての相続において、必ず取得しているもので、大変便利です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。(準備中)
不動産の名義変更の手続きについては下記ページをご覧ください。
>>故人が所有していた不動産(自宅、土地、マンション等)の名義変更手続き
1-3.株式証券に関する手がかり
確認するもの | 見つけた後にやること |
・証券会社からの封筒 ・取引報告書 ・株主総会の案内 ・その他証券会社からの書類 |
書類に記載されている証券会社に照会をかける |
株式証券に関しても、多くの場合は自宅にヒントがあります。
どれも見慣れない書類のためにスルーしてしまいそうですが、一つ一つ丁寧に確認するようにしましょう。
なお、証券保管振替機構という専門機関に照会をかけるという方法もあります。興味のある方はホームページをご覧ください。
https://www.jasdec.com/(外部サイトへ移動します)
また、証券を見つけた後の手続きについては、下記ページで詳しく解説しています。
【初心者でも安心】4つのステップで理解するはじめての株式相続(まごころ相続コンシェルジュ)
1-4.貸金庫に関する手がかり
確認するもの | 見つけた後にやること |
貸金庫の利用料金の引落し履歴 | 貸金庫のある銀行に問い合わせ、所定の開扉手続きを行う |
大切な書類などを保管するために、銀行の貸金庫を利用されている場合もあります。
もし貸金庫がある場合は、その貸金庫がある銀行と契約をして、年間の利用料を支払っているはずです。
通常はその銀行の預金口座から利用料を口座振替で支払っているはずですので、過去の預金通帳を確認することで、貸金庫があるかどうかを確認できる場合が多いです。
1-5.車に関する手がかり
確認するもの | 見つけた後にやること |
自動車税の納税通知書 | 管轄の陸運局に照会をかける |
JAFの会員カード | JAFに問い合わせる |
自動車保険の証書など | ・保険会社に契約の有無を確認する。 ・対象となる自動車の記載があれば、陸運局に照会をかける |
車がすでにある場合は、ダッシュボード等に「自動車検査証」があるはずです。車の中を確認してみましょう。
しかし、
- 車があるかどうかわからない
- たしか車があると聞いていたものの、見当たらない
というような場合は、上記の手がかりを頼りに車があったかどうか確認しましょう。
車やバイクが見つかった場合の手続きについては下記ページをご覧ください。
1-6.生命保険に関する手がかり
確認するもの | 見つけた後にやること |
・保険証券 ・契約内容のお知らせ ・粗品(タオルなど) |
その保険会社に照会をかける |
生命保険は厳密にいうと相続財産ではありませんが、死亡をきっかけに取得する財産ですので、あわせてご紹介します。
受取人になっている人には生前に情報共有されていることが多いと思いますが、全く知らなかった保険が見つかるケースもありますので、上記の手がかりから保険契約の有無を確認してみるとよいでしょう。
全く手掛かりがない、でも契約はあるはず…という場合は、一般社団法人生命保険協会による「生命保険照会制度」を活用するのもひとつの方法です。
詳しくは生命保険協会のホームページをご覧ください。
https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/(外部サイトが開きます)
2.マイナスの財産を見つける手がかり
次に、マイナスの財産を探す手がかりについてご紹介していきます。
マイナスの財産といえば借金やローンのイメージが強いかもしれませんが、他にも、購入したり使用したときよりも後で支払うクレジットカードや公共料金なども該当します。
それでは順番に見ていきましょう。
2-1.借金(借入・ローンなど)に関する手がかり
確認するもの | 見つけた後にやること |
・督促状 ・消費者金融のカード ・消費者金融ATMの利用明細 |
各社に問い合わせる (督促状の内容が税金等であれば、各役所等に問い合わせる) |
・住宅ローン | 登記情報に抵当権等の記載があるかどうか→あればその抵当権者に現在も債務が残っているか問い合わせる |
特に手がかりはないが、借金があるかどうか不安 | 信用情報機関へ開示請求を行う |
まず、督促状や消費者金融の利用がわかるものがあれば、そこに問い合わせるのが一番スムーズです。
住宅ローンについては、登記情報を確認するとよいでしょう。
法務局で登記簿謄本を取得し、抵当権の記載があるかどうかを確認しましょう。
(登記簿謄本を取得するには、不動産の所在地や地番、所有者名などの情報が必要です)
また、「借金があるかどうかはわからないが、自分が知らないだけかもしれないので不安」という人もいらっしゃると思います。
そういった場合は、信用情報機関に開示請求するとよいでしょう。
【信用情報機関の一例】
※開示請求には、手数料がかかります。
照会結果を見れば、
- 消費者金融からの借入
- 銀行ローン
- クレジットカードの未払い
といった情報がわかりますが、個人間の貸し借りや連帯保証人になっていないかなどについては確認できません。
これだけやっておけば大丈夫!というわけではない点に注意が必要です。
2-2.クレジットカード支払いに関する手がかり
確認するもの | 見つけた後にやること |
・クレジットカード ・ご利用明細 ・料金を支払った後の領収書 |
クレジットカード会社に問い合わせる |
クレジットカードについては、カードそのものが見つかるか、利用明細や領収書の紙があるとすぐにわかります。
ただ、最近は明細をWEBやメールのみで確認するケースも増えていますので、できればメールの履歴も確認するようにしましょう。
「どこの」クレジットカードかさえわかれば、問い合わせて契約者の死亡を伝えることで、支払いが残っているのか、いくら残っているのかなどを確認することができます。
亡くなった後のクレジットカードの手続きについては下記ページをご覧ください。
2-3.公共料金等に関する手がかり
確認するもの | 見つけた後にやること |
・利用明細、検針票など ・通帳の引き落とし履歴 |
各会社に問い合わせる |
亡くなった人名義で公共料金等を契約していた場合、名義変更もしくは解約の手続きの必要があります。
契約先を確認する手段として、利用明細や通帳の利用履歴を確認してみましょう。
亡くなった後の公共料金の手続きについては下記ページをご覧ください。
3.まとめ
財産調査の難しいところは、人によって「ある財産」「ない財産」が違うことです。
「ある」とわかっているものは探しやすいですが、
- 「漏れなく」相続手続きをするためにも
- 「ない財産」も「ない」ことを確認するためにも
故人の財産についてしっかりと調査することが重要です。
また、マイナスの財産の金額によっては、相続放棄を検討される方もいらっしゃると思います。
相続放棄は、自分が相続人であると知った日から3か月以内という期限があります。
その期間内に判断する必要があることも理解した上で、しっかり財産調査を進めましょう。