- 遺言書に記載のない財産は、相続人が相続する
→そのため遺言書がないものとして、相続人全員で相続手続きをする - 遺言書に記載のない財産は、遺産分割協議が必要
遺言書がある場合は、遺言書の内容に従って相続手続きをします。
ですが中には、その人の全財産についての記載ではなく、財産の一部のみについて記載された遺言書の場合もあります。
つまり、遺言書に記載のない財産があるケースもあります。
記載のない財産については、遺言書の効力は及びません。
このような「遺言書に記載のない財産」について、どのように手続きを進めていくのか解説していきます。
1.遺言書に記載のない財産=相続人の相続財産
遺言書には、遺言者(遺言をする人)の意思で
- だれに
- なにを
- どのくらい
財産を渡すか書いてあります。
これに漏れて、遺言書に記載のない財産がある場合は、特定の人のものではないということになり、相続人に相続されます。
2.記載漏れの財産について遺産分割協議をする
遺言書に記載のない財産は、遺言書がないものとして相続手続きをします。
遺言書に記載があれば、遺言によって財産を受け取ることになった人(受遺者)が相続手続きをすることになりますが、遺言書がない場合は、相続人全員で手続きを進めることになります。
戸籍を収集して相続人を確定させ、(遺言書に記載のなかった財産について)必要に応じて遺産分割協議をしましょう。
3.〈コラム〉記載漏れをしないよう遺言書の書き方には要注意!
遺言書の記載漏れを防ぐには、遺言者が遺言を遺す際に注意するしかありません。
直筆で作成する自筆証書遺言はもちろんですが、公証人と作成する公正証書遺言であっても、そもそも自身が全財産を把握できていないことには、どうしても記載漏れが発生してしまいます。
また、「しっかりと全財産について記載をしたぞ!」と思っていても、表現が曖昧で財産の特定ができず、手続き先によっては「遺言書は無効」と判断されてしまう可能性もあります。
無効となると、遺言書はないものとして、相続人は相続手続きをする必要あります。
ですので、もし遺言をする人が存命で話をする機会があれば、遺言者自身の意思のとおりに財産を引き継ぐためにも、
- 財産の記載漏れをしない
- 財産が特定できるように明確に書く
(不動産であれば所在の番地まで、銀行であれば預金種類や口座番号まで等)
これらを心がけましょう。
ですが、あえて
「本遺言書に記載のない遺産は、◯◯が相続する」
といったことも遺言できます。
このように、遺言は文言ひとつで財産の行く先が変わるため、慎重に正確に作成することが大切です。
4.まとめ
遺言書に記載のない財産は、相続人が相続することになります。
遺言書に記載のある財産は、受遺者が手続きをしますが、
遺言書に記載のない財産は、相続人全員で協力して、必要であれば遺産分割協議をして、相続手続きを進めていく必要があります。
遺言者も遺言書を作成する際は、このことを念頭に、漏れなく、また丁寧に作成するように心がけましょう。